期待のルーキーだったレスキュー
これまでに購入した全てのジーンズと同じように、このレスキュージーンズも購入時は、ワードローブの一翼を担うであろう期待のルーキーとして我が家にやってきた。
レスキューの購入により、所有するジーンズ達の激しい定位置争いの火蓋が切って落とされるハズだった。
ワードローブの双璧
まず、このレスキューは私が所有している他のアーペーセーのジーンズであるプチスタやニューキュア、ニュースタの代わりとして着用される機会を得なければならなかった。
ニューキュアは年に一回位、出来心でプチスタより細いジーンズが穿きたくなり、クローゼットから引っ張り出して、そのタイトフィットに飽きるまでの穿いていた。プチスタを穿き始めてからニューキュアの出番は減った。
ニュースタは大きめのサイズを買ったのでややルーズ。バギーとまでは行かないが、このレスキューと立ち居地がほぼ一緒だ。このニュースタも余り穿いていないが、それでもレスキューよりは穿いた。
現在、最も愛用しているのは、リジッドから穿いているプチスタ、その間を埋めるのは、糊落とし後、穿いているプチスタだ。この隙のないプチスタの二段構え。信長公の鉄砲隊によろしく。アリの入る隙すら無い鉄壁にみえた。
まずニューキュア、ニュースタがあり、プチスタが待ち構える。さらに数本のレプリカジーンズ達が控えている。これらを抑えなければ、レスキューの出番はない。
結局、長い間このレスキューを穿く事は無かった。
レスキューのシルエットはややワイドなストレート、膝下以下もテーパード無し。現在のテーパード全盛期、この流行に真っ向から抗うシルエット。最後まで膝から裾まで一直線のラインを描くこのレスキューを自分の物にできなかった。
またしても不要なジーンズを買ってしまったと唇をかみ締めたあの寒い夜。
冬が終わる前に、このレスキューを飼い殺し状態から救い出す事を誓った。
レスキューを活かす為に
何故なら、数日で洗濯が必要になるほどの汗を生地が吸収するからだ。
洗濯回数が増えれば、その分だけインディゴが落ちてしまう。
穿きこむ以上は、皮脂による生地の劣化は是としている。
だが、生地のベタつきや臭いはほっておけない。
夏場にPSを穿くと、すぐに生地が許容量以上の汗を吸いベタつきはじめる。
以上の点から夏場はPSを穿かない。
このレスキューは冬のボトムスとしての定位置は得られ無かったが、夏のボトムスの主役にする為にショーツになってもらう。
デザイナーの意図と違う形で服を着るのは本望ではないが、このレスキューにはこれしか道がない。背に腹は変えられない。着用するために股下を切り落とす。
レスキューを補正すると決めて以降は、股下を何センチにするかで悩んだ。
昨年の夏に愛用していたショートパンツの股下は22センチ。
それを一回折って穿いていたから20センチくらいがベストだと考えていたが、紆余曲折を経て、股下18センチで補正を依頼した。
裾上げ幅は12.5mmでチェーンステッチを指定した。
店にとって春は繁忙期のようで、仕上がりまで普段の倍の時間がかかるようだ。
肌寒さを感じながら春とレスキューの仕上がりを待つ。
帰路で見た桜が綺麗だった。
ショートパンツになったレスキューを受け取って
冬の終わりを告げる春一番が吹き荒れ、サクラは散り、葉桜の新緑、春が息吹く。
出会いと別れの季節、新しいレスキューを新しい気持ちで迎えるにはうってつけの時期だ。
自己の浅薄な収集意欲を抑えられず、その犠牲となり、形を変えるハメになったレスキューを迎えにいく。
仕上がり予定日、申し訳なさと不適切な期待を募らせながら店に向かった。
レスキューは変わった。股下が大分短くなり、新しく生まれ変わったと言える。
一見は百聞にしかず。是非、このレスキューショーツの画像を見て頂きたい。
仕上がりを見た感想
裾は洗わないとパッカリングがでないが、夏に穿けばすぐに洗うことになるから大丈夫。
念のため裾だけお湯につけてうねらせておこうかな。
リジッドからはいてるPSは、未洗いで裾のパッカリングが皆無のまま穿いて、裾が色落ちしてきている。うねりにそった色落ちは微妙になりそう。
カットした分の生地は、今後穿き込んだA.P.C.ジーンズをリペアする際の当て布として使う予定。
濃紺のデニムショートパンツがもう一本欲しくなってきた。